妻が第二子の出産で入院していた、3日目の夜のこと。
2歳の娘に「パパ怒らないで!」と言われました。
そのとき僕は、爆発寸前のイライラを抱えながら、娘に大きな声を出してしまった直後でした。
この記事は、その日に何があったのか、自分がどう感じたのかを正直に書きます。翌日妻に話したときに返ってきた言葉も含めて。
「子どもに当たってしまった」「自分は親として失格かもしれない」と感じたことがあるパパ・ママに、何か届けば嬉しいです。
あの3日間、僕は明らかに余裕を失っていた
妻が深夜に救急で入院したのが5月10日。翌日に帝王切開、母子ともに健康でした。
そこから僕は2歳の娘とのワンオペが始まりました。
仕事はいつも通り、保育園の送迎、夕飯、お風呂、寝かしつけ。普段は妻と分担している家事と育児を、ひとりで全部やる日々。
特にきつかったのは寝かしつけです。娘は毎晩「ママがいないー」と泣いて、なかなか寝てくれませんでした。
初日の夜は午前2時近くまで寝なかった。2日目は時間帯で感情の波が激しくて、朝は不安、昼は元気だけど眠そう、夜は決まってぐずる。
3日目の夜には、自分でも余裕を失っているのがうっすら感じられていました。
睡眠不足と、何をやっても「ママー」と泣かれることへの無力感。それでも娘の前では「大丈夫だよ」と笑っていなきゃいけない緊張感。
少しずつ、何かが擦り減っていく感覚がありました。
「パパ怒らないで!」と言われた瞬間
3日目の夜、保育園から帰って夕飯とお風呂を終え、寝る前の歯磨きの時間でした。
歯磨きが終わって、口をゆすぐところまでは普段通り。
でも、娘がなかなか終わらせてくれませんでした。洗面台で水で遊んだり、コップを何度も洗ったり。
「早く寝かせてあげたい」「自分も早く寝たい」という気持ちが、僕の中でどんどん膨らんでいました。
最初は普通に「もう終わりだよ」と声をかけていました。
でも娘はやめない。
そのうち、自分の返事が棒読みになっていることに気づきました。「うん」「もういいよ」「終わりね」。感情のこもらない、機械的な返事。
それでもやめないから、僕は娘のコップを取り上げようとしました。
そのとき、自分でも「あ、これはイライラしているな」と気づいていたんです。でも止められなかった。
そして、ついに大きな声を出してしまいました。
「もうおしまい!」
正確に何と言ったかは、もう覚えていません。ただ、いつもより明らかに強い口調だったのは間違いないです。
その瞬間、娘も大きな声で言い返してきました。
「パパ怒らないで!」
怯えているというより、「パパが怒るの嫌!」という感情をぶつけてくる声でした。
たぶん、僕がイライラしている雰囲気を、その前から察していたんだと思います。
僕は、何も言い返せませんでした。
ごめんね、と言いながら抱きしめた
その瞬間に込み上げてきたのは、申し訳なさでした。
「ごめんね」と言いながら、娘を抱きしめました。
娘もぎゅっと抱きしめ返してくれました。
その小さな体を抱きしめながら、僕が感じていたのはこんなことです。
「パパは、のーちゃんにうまく伝える力がない」
「2歳の子どもに、自分の余裕のなさをぶつけてしまった」
「ママがいない不安と戦っているのは、僕じゃなくて、のーちゃんなのに」
後はもう寝るだけだったので、その日は娘と抱きしめあいながら一緒に寝ました。
寝顔を見ながら、何度も「ごめんね」と心の中でつぶやいていました。
翌日、妻に電話で話したときの言葉
その夜から翌日にかけて、僕の頭の中はずっと「やってしまったな」という気持ちでいっぱいでした。
午前中に妻から電話があって、僕は切り出しました。
「ちょっと、話したいことがあるんだ」
昨日のことを、できるだけ正確に話しました。歯磨きの場面、自分が大きな声を出してしまったこと、娘に「パパ怒らないで!」と言われたこと、抱きしめたこと。
声しか聞こえないので妻の表情はわからなかったけれど、何かをこらえているのは伝わってきました。
そして妻が言った言葉が、これでした。
「のーちゃんがそう言えるのは、関係性に信頼があるから。ハッとしてくれてありがとう。のーちゃんは幸せだよ」
涙をこらえているような声でした。
正直に言うと、そのときの僕は「ほんとにのーちゃんもそう思ってくれてるのかな…」と思いました。
自分のしたことを、そんなに簡単に肯定していいのか、という疑いもありました。
でも、妻にそう言ってもらえたこと自体に、確実に救われていました。
「親としてダメだった自分」を否定されなかったこと。
「ハッとできたこと」を、むしろ評価してくれたこと。
そして「のーちゃんは幸せだよ」と、娘の幸せを保証してくれたこと。
この3つが、その日の僕に必要だった全部でした。
あの日から、僕が意識するようになったこと
事件の後、僕の中で確実に変わったことがあります。
ひとつは、頭ごなしに「ダメ」と言わないこと。
歯磨きを終わらせない娘に対して、僕は「もう終わり」しか言っていませんでした。
でも本当に必要だったのは「なんで終わらせたくないの?」と聞くことだったのかもしれません。
水で遊ぶのが楽しかったのか、ママがいないからもう少しパパといたかったのか、理由は娘の中にあったはずです。
それを聞かずに、自分の都合(早く寝かせたい・自分も寝たい)だけで終わらせようとしていた。
これに気づいてから、できるだけ「なんでそれをしたいの?」と聞くようにしました。
もうひとつは、娘の意思をいったん受け止めること。
「ダメ」と言わなきゃいけない場面は、もちろんあります。
でもその前に「のーちゃんは○○したいんだね」と一度受け止める。そのうえで「でも、これはダメなんだ。なぜなら〜」と伝える。
順番を変えるだけで、娘の反応も自分の気持ちも全然違います。
正直に書くと、これは今までも意識してきたつもりでした。
でも「つもり」だっただけで、余裕がなくなった瞬間に全部すっ飛んでいたんです。
あの日の反省から、「もっと意識しないとダメだ」と本気で思い直しました。
余裕を失っているパパ・ママへ
最後に、もし今このページを「自分も子どもに当たってしまった」と感じて読んでいるパパ・ママがいたら、伝えたいことがあります。
子どもが「パパ怒らないで」「ママ怒らないで」と言えるのは、あなたとの関係性に信頼があるからです。
怖くて何も言えない関係性なら、子どもはそんな言葉を口にできません。
ハッとできた瞬間に、抱きしめられた瞬間に、ちゃんと修復は始まっています。
完璧な親なんていないし、余裕を失う日もある。
それでも子どもとの関係性は、ひとつの場面で壊れるほど脆くないんだと、僕は妻の言葉で教えてもらいました。
妻入院中の5日間、2歳の娘と過ごした全体の記録は、ピラー記事にまとめています。「パパ怒らないで」の日も含めて、不安と温かい瞬間の両方を時系列で書いています。

そもそも妻が緊急入院した経緯(HELLP症候群)はこちらにまとめています。

2歳児の感情との向き合い方は、イヤイヤ期の記事でも書いています。

「赤ちゃん返り」と「分離不安」の違いについては、別記事でまとめています。




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